父の気遣いに涙

呼吸が止まった父の前で泣き続けていると、看護師さんが亡くなる前後の話を聞かせてくれました。
なんでも夜中に体調が悪化したそうです。
見た感じかなり辛そうだったので、看護師さんたちは、「息子さん呼ぼうか?」と聞いたそうなのですが、父は「呼ばなくていいです」と答えていたそうです。
俺に面倒をかけないように気を遣ったのでしょうね。
いつでも動けるフリーターだから呼べばいいのに・・・。

そして相当痛かったにも関わらず、看護師さんたちにも迷惑をかけないよう、ひたすら痛みを我慢していたみたいで・・・。
それから3時間後、着ていたTシャツが真っ赤に染まるほどの吐血をし、そのまま息を引き取ったそうです。
これも自分には吐血した姿を見せたくなかったのでしょうね・・・。
自分も吐血なんてみたことないですから、もしその場に居合わせていたら相当なショックを受けていたでしょうし。
これらのことから、最後の最後まで父がしょうもない息子である自分に気を遣っていたことが分かると、とても申し訳ない気持ちになり涙がこみ上げてきました。

 

 

後で、以前いた病棟の看護師さんたちからの話聞いてみたところ、どうやら父は周りに気を遣ってかなり我慢するタイプだったとのこと。
このころ、弟も入院していて母と俺ががすっかり疲弊しきっていたこともあり、なるべくこちらの手を煩わせないようにしていたのでしょう。
またこの父が亡くなった日は、実は弟が10時間前後の心臓の手術をする予定だった日。
本来であれば母がつきっきりで付き添いする予定でしたが、前日の昼を過ぎてから集中治療室の都合がつかず、手術が延期されたということもあり・・・。
まぁそこらへんも踏まえてか、とにかくあまり迷惑をかけないようにこの日に亡くなったことが、何ともわが父らしいと思いました。

また、後でよくよく父の症状というか状態を思い返すと、実はこの日の一週間前ぐらいから「もう亡くなる手前」だったことに気付きました。
受け答えは出来るものの、ところどころ意識がハッキリしなかったり、ベッドから状態を起こすだけで、支えにする両手がブルブル震えていたことを考えると、すでに限界だったみたいです。
亡くなる前日、5時間ほど父に付き添いましたが、俺が立ち去る1時間程前、ベッドから体を起こして体を小刻みに震わせながらチラッチラッと2回ほど振り向いて俺の方を見ていた父。
「なにかしてほしい」とか言ってくるわけでもなかったですが・・・、このあたりで死期を悟っていたのだと思います。
でも、きのう一緒に居てもそれにまったく気付かなかったことを思うと、より一層悲しくなり再び涙が溢れてきました。

と、そんな感じで色々と悲しい感情が頭の中を駆け巡るものの、とりあえず看護師さんは看護師さんでやらなければいけないこともあり、これから父の遺体をどうするかなどは詳しいことは母が来てからでないと答えられないため、一旦病室から出ていきました。
亡くなった父と二人きりになった自分は、とりあえず放心状態ながら、「この後はまず部屋を片付けないといけない」と思ったので、荷物をまとめはじめました。
その途中でバイト先の社長や奥さんに連絡を入れたほうがいいことに気付きました。
どこで通夜や告別式を行うかは未定でしたが、ちょうどバイトと重なりそうなため、とりあえず早朝とはいえ一報を入れておくべきだと判断しました。
SMSにて社長と奥さんに連絡。
その後は部屋の片付けをしつつ、時折いまだに飲み込めない「父の死」という現実に呆然としながら母を待ちました。

次回につづく

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