前回のつづきです。
俺は叔父さんのことを長年「倹約家」だと思っていたのですが・・・。
叔父さんは商売をやっていました。
開業したのは俺が高校生の頃の今から25年ほど前。
オープンしたばかりのころ、3日ほどバイトで手伝ったこともあるので、そのことをよく覚えています。
商売をスタートさせて数年経った以降は、母からたまに商売の状況を聞く程度。
特に悪い話を聞くわけでもなく、生活できる感じで商売を続けていると思っていました。
そして2年ほど前。
諸事情により閉店することになり、在庫を処分。
仙台の方にあった店なので、在庫処分の際には母も協力して、無事に店をたたむことが出来たようです。
と、ここまでが俺が叔父さんの店に関することで知っていたことなのですが・・・。
線香をあげに行った時のこと。
叔父さんの奥さん(以下叔母さん)との会話で、叔父さんのことについて前回の話も含めたことを話していると、店をやっていたころの話に。
すると、そこで驚きの真実を知ることになります。
何と叔父さん。
ある年から店を休業していたようです。
ただ、当然のことながら休業していても借りている以上は家賃が発生します。
大家との交渉の結果、家賃を4万円から3万円にまけてもらっていたそうなのですが・・・。
で、最初にこの話を聞いたとき、「2~3年ぐらい払っていたのかな」と思いました。
とりあえず再開する可能性とかも含めて、それぐらい様子見で払っていたのかと。
しかし・・・実際はなんと15年もの休業状態の間、毎月3万円ずつ家賃を払い続けていたそうです。
そして2年ほど前に完全に店をたたんだというのが真相だったようで・・・。
叔父さんが金にシビアなイメージが強かっただけに、もの凄く驚きました。
叔母さんいわく、叔父さんは再開する可能性があるから毎月3万円を払って借り続けていたとのこと。
「一度この立地を手放したら、同じ家賃で借りることは出来なくなる」と。
叔父さん的には非常に好条件の場所で手放したくなかったようなのですが、15年となるとさすがに見切りを付けるのが遅い気が。
だって単純計算で540万円払っていたことになります。
メガネ1つ買うにも徹底的に安く買っていた叔父さんからは、想像も出来ない行動でした。
これだけのお金があったら、けっこういい車とかも買えちゃいますからね。
それが活用されることもないまま溶かしたとなると・・・やはり厳しいですよね。
なので、叔母さんとかもある時期からちょいちょい「お父さん、そろそろやめた方がいいんじゃない」と忠告はしていたようです。
でも叔父さんは頑なにその話を聞かなかったんだそうで・・・。
叔母さんは叔父さんのそういう性格をよく分かっていたので、ある意味諦めていたようでした。
また叔父さんは酒やギャンブルを一切やらなかった人。
「飲む打つ買う」とかなかったから、そういう点を踏まえれば「これぐらいは・・・」とどこか許していたようです。
と、これらの話を聞いて思ったのは、「人って本当に分からないな」ということ。
叔父さんがまさかそんなお金の使い方をする人とは思っていなかっただけに、この話には衝撃を受けました。
あまりに金額が大きいのもありますね。
540万円はさすがに「まぁいいか」とはならない金額。
俺がもし叔父さんの家族だったりしたら、真剣に考えさせられたでしょうね。
んで、話の最後の方で、叔母さんは「人ってそういうもんなんだよ」的なことを話していました。
傍から見たら理解できないようなことでも、そこに固執してしまう人もいるというか。
正直、この事は何となく理解できます。
俺にもどうしようもない悪癖のようなものがありますから。
損とか得とかじゃなく、周りからバカだと言われても拘ってしまう。
傍から見たら「謎の固執」なのでしょうが・・・。
もちろん当人の中では葛藤はあったと思います。
でもどうしても引けなかったのでしょうね。
というわけで、亡くなった後に知った叔父さんの性格。
倹約家なのに無駄とも言えるお金の使い方をしていたと聞いて、本当に驚かされました。
次回につづく
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