“ウチの店買って下さい!!”を見て恐ろしい現実を知る

去年の年末。
「ウチの店買って下さい!!」という番組を見ました。

番組の内容は、店を売りたい人と買いたい人のやりとりを見せるというもの。
売りたい方はなるべく高く売りたいものですし、買いたい方は出来れば安く買いたい。
最初に出てきた中華料理店は店のオヤジさんが「5,000万円で売りたい」と言っていたのですが、買いたい側が提示してきた額は500万~1000万円。
この金額差を見て、こういう交渉も大変なもんだなぁと考えさせられました。

で、俺がもっとも気になったのは、2番目に出てきた老夫婦が営む長崎ちゃんぽん屋さん。
近所の評判もよく行列が出来るお店。
高齢になり体力が落ちてきて、営業を続けるのが厳しくなってきたので、今のうちに若い人に店を継いでもらいたいとのこと。
店の売却価格は500万円。
これを聞いた時、1番目の中華料理店の価格と違って格安だったので、俺は「え、めっちゃお得じゃん!」と思いました。

と、そんなお店を買い取りたいと希望してきたのは40代ぐらいの男性2名。
1人は現在介護の仕事をしていて、若い頃にラーメン屋をやっていた経験もあるから、店を継いでみたいとのこと。
もう1人はサラリーマンをやっていて、友人の夫婦と協力して店をやっていきたいとのことでした。

んでですね。
これどっちも老夫婦に対して“1人での営業もできますよね?”みたいな話をしてきたのですよ。
まぁワンオペでも店が回ると思っていたようです。
が、それに対して主人は即座に否定。
「絶対にできません」と。
事実、基本は老夫婦とパート1名の3人体勢でやっているとのこと。
ウン十年と経験を積んだ老夫婦でさえこれですから、素人が店を継いでワンオペで営業するなんてのは、どう考えても無理です。

それでこの後。
ご主人が自分たちがどういう人件費でやっているかの話をしてきたのですよ。
するとですね、老夫婦の時給を割り出すと、なんと時給410円ほど。
これを聞いた瞬間、希望者の顔色が変わりました(笑。
テレビを見ていた俺もビックリ。
そしてこんなことをつぶやいてしまいました。
「これ“ちゃんちゃん食堂”じゃねえかよ」
と。

ちゃんちゃん食堂というのは、家族経営で儲けを度外視してやっている飲食店のこと。
俺はフミコフミコさんのブログで知りました→“ツブれない個人経営飲食店のリアル”

なのでまぁ、このちゃんぽん屋の場合、正規の金額でパートさんを2~3人雇うなんてのはそもそも不可能。
経営の中身は、老夫婦が「自分たちが食べていければ充分」という感じで自ら犠牲をかぶっていたわけです。
で、老父夫婦はそのことに疑問を抱くこともなく、これまでやってきたのです。

と、そんな事実を知らされた応募者たち。
後日、老夫婦がどちらに継いでもらおうか相談した結果、ラーメン屋の経験がある男性に決まりました。
そしてそれを番組スタッフに報告すると・・・番組スタッフから「応募者から手紙を預かってきています」とのこと。
老夫婦がその手紙を読んでみると、そこにはなんと「今回は辞退します」との一文が。
で、更に選ばれなかった方からも「今回は辞退します」との手紙が来ていました(笑。
まぁ当然ですよね。
40代でこれから稼ぎたいのに、自分の身を削って時給400円台で働くなんてのは、まともな考えも持ち主ならやるわけがありません。
そんなのをやるぐらいなら、どこかでバイトでもしていた方が圧倒的にマシですからね。

というわけでまぁ・・・。
本当に「お客さんに喜んでもらえればいい」的な考えで、自らを犠牲してちゃんちゃん食堂をやっている方もいるのだと知りました。
まぁ実際、仙台にもそういうお店はあって、俺は去年行ってきました。
そのときの記事がコチラ→“尊敬できる生き方”
揚げたてのカツが乗ったカツカレーが650円というのには、度肝を抜かれましたねぇ。
で、そのお店もかなり高齢の老夫婦がやっていまして・・・。
改めて儲け度外視でやっているから、あの値段が成り立つのだと思いました。

俺のような人間にとってはありがたいちゃんちゃん食堂。
今後はこういう食堂は消えていく一方でしょうから、食べたい人は今のうちに行っておいた方がいいですね。

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