華やかな舞台の裏にあるもの

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ここ2年ほど人気ラーメン店店主さんたちがやっているYouTubeを見ているのですが、何ヶ月か前に修行生を募集しているある店主さんがこのようなことを言っていました。
「若いヤツが修行生で来ても、1週間持たないがヤツがいっぱいいるから!」
「こういう子たちは小さい子どもが『仮面ライダーになりたい』とかいうレベルと一緒。本当にああいうレベル」
と。
これを聞いた俺は、20代後半に正社員になろうとしていた自分を思い出しました。
「あ、正にあの当時の俺がこれだった」と。
今年に入って書いた人生の選択を誤った話の頃です。

というのも、以前にも書きましたが、俺がその当時思っていたことって「この人の下で働けば」や「新しい町に行けば」で人生が変わると単純に思い込んでいたのですよ。
その土地の空気を吸えば、それだけで成長できると(苦笑。

で、上記で書いた人気ラーメン屋店主にあこがれて修行生を志した若者たちもYouTubeとかを見て、そのようなことを考えたと思うのです。
高校や大学を卒業してもやりたいことや夢も何もなく、毎日をふらふら生きてきた人間にとっては、その店主さんたちの姿ってそりゃまぶしく見えるものだと思います。
店に行列が出来ている中でビシッと仕切って仕事をする。
その上でお客様にも感謝される。
しかも稼げる。
「いずれは修行して店主からの信頼を得れば、地元で自分の店が持てる!」っていうゴールを提示されていたら、一念発起してやってみようかなと思うのも不思議じゃありません。
“生きる道”が見えるって大きいことです。

そしてこれがねぇ・・・。
YouTubeの動画って10分~20分かそこらで、店主さんたちは楽しそうに「ガハハ」と豪快な話をしまくっているわけですよ。
新店をOPENさせれば行列して大繁盛。
それを見て憧れを増幅させ、「俺もいつかは・・・」ってなる気持ち。
俺には痛いほど分かります。

しかし。
こういう考えの若者がそのまま行くと、まず失敗します。
それはこの店主さんたちが積み上げてきた苦労をまったく分かっていないから。

以前、この店主さんたちが若い頃にどういう風に仕事をしてきたのかを話していた動画を見たことがあります。
それによると、20代前半のころから1年365日休みなし。
早朝から仕入れや仕込みなどを行い、後は営業時間が終わる深夜まで働きっぱなし。
家に帰る時間もないから調理場の水道のホースを使って髪や身体を洗う。
床にダンボールを引いて寝たりしていたんだそうです。
他にも人間関係でも揉める、毎日の労働で身体のアチコチを痛めるなど・・・。
こういうことを20年以上休まず続けてきて、今の地位を手に入れたわけです。
とんでもない事をやってきているわけですよ。

しかしこれがYouTubeだけを見ていると、そんな辛い部分はまったく見えません。
短い動画内では笑顔で楽しそうなことばかりをやり、そしてカッコイイことを語る。
こうなると過酷な労働があることもすっかり忘れて、「俺にも出来そう!」と錯覚してしまったりするのですよね。
俺がクソ社長のブログで語ることに心酔してしまった状態とまったく一緒。
だから俺はそういう若者が修行に行き、1週間で玉砕する理由がよく分かるのです。
要は最初から間違った認識で行っているから、コケて当然なのです。

んで、そういう若者に対して言いたいのは、仮にそういうラーメン店店主さんに憧れて修行とか「その人も下で働きたい」ってなったとしても、「すぐには行かないほうがいい」ということ。
地元のラーメン店、それこそチェーン店などでもいいから働いてみることをお勧めします。
3ヶ月とかでもいいので。

こういうことを書くと、「そんな普通の店で働いて何の意味があるんだよ」と思う方もいるでしょう。
「そんな時間があるなら今すぐ憧れの人の下で修行した方がいいだろ」と。
俺もクソ社長の下にそう考えてすぐに行きましたから、そのお気持ちはよく分かります(笑。

しかしあえて言わせてください。
同業種の店で働いてみれば、絶対に何かしら見えてくることがあります。
やったことがないなら尚更。
お客としてきていたときには見えなかったものが見えてきます。
後は様々な実情とか。
実際にやってみると、本当に分かることって凄く多いです。

で、それをやった上で、「やはりあの人の下で働きたい!」となったら覚悟を決めて行けばいいと思います。
ただ、その上での注意点は、“あくまでもYouTubeなどでは良い面しか見せていないこと”を忘れてはいけません。
100%の憧れを持っているなら、25%ぐらいまで下げておいた方がいいです。
「実際に会ってみたら本当に凄い人だった」というケースもあるとは思います。
でもそんなのはほぼ稀。
一緒に働いていくにつれて、少なからず現実を知り幻滅をするものだと思うから、そこら辺は頭の片隅にでも置いたほうが、受けるショックを減らせるかと。

それと、“修行”という名目で行く場合は、相当覚悟した方がいいです。
結局、毎日8~10時間勤務をし続け、そして店を任せられるとなったら、そこから1日12時間以上の労働が待っているようなものかと。
自分で店を引っ張っていかなければならないので。
誰かに任せて週休2日で1日8時間労働なんてのは絶対にあり得ないはず。
というか、そういうのが出来るのは、店を軌道に乗せて任せられるスタッフが出来た後とかでしょうから、それこそ早くても5年後~10年後とかになるんじゃないかなと。
それまでは自己犠牲の名の下に働き続けるわけです。
むろん、頑張ったら頑張っただけ給料も増えるでしょうから、やりがいもあるとは思います。

と、そんなわけで、人気ラーメン店店主さんの一言で過去の自分を思い出し、つくづく浅はかだったなぁと。
もし俺がいま20代だったら、それこそ今ごろこういう方々も下に修行に行っていたような気がします。
そして見事に玉砕して帰ってきていたでしょうね(笑。
まぁ1週間程度で見切りを付けるのも、ある意味良い人生経験なのかもしれません。
華やかな舞台の裏にあるものを知れたわけですので。

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