親を亡くした中高年ひきこもりのその後を見て

数年前の話になるのですが、NHKのドキュメンタリー番組で、両親を亡くしたひきこもりの人を取り上げているのを見ました。

その人は20代前半で就職したものの、仕事がうまくいかず退職。
それからずっと30年ぐらい引きこもっていたとのこと。
その間に病気で母親が亡くなり、次は父がガンになり死去。
兄弟には弟がいますが、結婚を機に家を出たとのこと。
その後は親の貯金を使って一人で自宅に住み続けていました。

と、そんな人の元にそういうケースに対応している市の職員がやってきました。
家の中はボロボロで大量のゴミ袋が。
引きこもりの方にはモザイクがかかっていたのですが、そのモザイク越しでも分かるほどの痩せっぷり。
そんな状態を見て職員の方は入院を提案してきました。
「こんな状態じゃ立て直せないだろ」と。
しかし、引きこもりの方はそれを拒否。
「なんとか自分の力でやれるところまで」って主張を繰り返します。
本人の同意が無い限りは強制的に入院させることも出来ず、この日はそのまま家を後にしました。

が、ここからが凄かったのですよ。
なんとその映像を撮った10日後。
この引きこもりの方が亡くなったのです。
死因は栄養失調でそのまま家の中で亡くなっていたそうです。
映像を撮ったわずか10日で亡くなったということに、めちゃくちゃ衝撃を受けました。
「え?そんなことありえるの?」と。

で、この後。
弟さんが取材を受けて実家の中に入ったりするのですが・・・。
せんべいの空き袋とかがきれいに畳まれた状態で大量にあったり、手帳にお金に関する計算式のようなものが書かれていたりするのを見ると、赤の他人の俺でもグッとくるものがありました。
もうどうすることも出来ない絶望といいますか・・・。
料理とかも出来ないしお金もどんどんなくなっていく。
せんべいとかそういうものばかりを食って必死に凌いでいたであろうことを考えると・・・将来の自分の姿に重なるようで、本当にせつない気持ちになりました。

ちなみになんですが、弟さんはお兄さんのことを放置していたわけではありません。
家を出た後にも気にかけていて、この亡くなる何ヶ月か前には自宅に医者を呼んで体調面などを確認してもらったそうです。
しかし、そのときの見立ては「入院不要」だったとのこと。
で、それ以降どうしようもなくなったと。
まぁ実際のところ、弟さんも結婚していて家族があることを考えると、この年老いた兄のサポートをするといっても、自分一人の力だけではほぼ無理。
やはり人1人を養うって並大抵のことじゃありません。
先のこととか諸々考えたら・・・自分たちが生き残るだけでも大変なわけですから。

で、このドキュメンタリーなんですが、3回ほどシリーズ化されたのです。
毎回若干切り口を変えて放送したみたいなのですが、印象的だったのは引きこもりの方にかかっていたモザイクが薄くなって、最終的にはありのままの姿が放送されました。
俺はその回は見られなかったのですが、ネットで画像を確認すると、想像していた以上の痩せっぷり。
まったく手入れしていないと思われる長髪とヒゲで、来ていたTシャツはもうボロボロ。
ヨレヨレなんてレベルはとうに超えて、身体に単なる布を巻き付けているような感じ。
これを見ると、先のせんべいを食って凌いでいたことを思いだし、
「確かに服に金をかける余裕はまったくないよなぁ」
とまたしんみりしてしまいました。
どんだけ服や靴がボロくなっても買うことが出来ず、それを使い続けるしかない。
辛すぎますね。

と、これらのことを踏まえると、最初に職員の方から入院を勧められても応じなかった気持ちが理解出来るような気がしました。
というのも・・・。
自由に使えるお金があるわけでもないのに入院は、どう考えてもかなりキツい生活。
俺がこの人の立場だったとしても、断ると思います。
体調が悪いにしろ、それならまだ1人で家で過ごしていた方が気分的には楽だから。

またこの人の場合、正直に言ってしまうと「治療したところで・・・」って話だと思うのですよ。
30年の引きこもりだと、社会復帰も相当きびしいですよね。
だから元気になったとしても「その後どうするか?」って問題が弟さんや周囲に降りかかってくるわけです。
そしてそれを引きこもりの人も分かっていた。
だからとにかく最後まで家にしがみついていたんじゃないかと。

それと俺がこの番組を見て衝撃を受けたことがもう一つ。
それはこの引きこもりの方、父親が亡くなった後も1人で10年過ごしたそうです。
俺的にはこれが衝撃で・・・。
頼れる人がほぼおらず、貯金は目減りしていく一方の中での10年は凄すぎると思います。
間違いなく地獄のような生活だったけど、自ら命を絶つこともなく最後までやり遂げたのは本当に凄いと思います。

と、そんな数年前に見たドキュメンタリー。
その方と似たような状況に近づいている今、ふと思い出してしまいました。
俺も親が亡くなった後、どんぐらい生きられるのですかね・・・。

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